チェンマイ・エイズ寺(見捨てられた者たちのお寺)

竹林の落とす影の下、水をいっぱい貯えた古池の淵でトングチャイ は車椅子の上でじっと水面を見つめていた。
彼はつぶやいた「まだ何故自分がエイズになったか信じられないんですよ。遊ぶときはいつもコンドームを付けていたのに...。」彼はエイズの犯され、皮膚はその色を失い脹れていた。そして彼は自分で歩くことがもう出来ない。
「もし時間が戻るなら、絶対に女遊びはしないよ。誰でも死は避けられないものだけど、エイズで死ぬなんて大馬鹿だもんね。」彼はつぶやく。
トングチャイは38歳。以前は建築作業員だった。3年前に彼はエイズと診断された。エイズが発病して働けなくなったとき、彼は解雇された。彼の妻は彼を看護し、小さい2人の子供たちは人夫として外で働かねばならなかった。そして今、トングチャイはチェンマイ県のバーン・プエン・チーウィットと呼ばれる病人を世話してくれるお寺に居る。
「私がこの寺に来て家族は生活ができるようになった。家族はもう私の心配をする必要はなくなったからね。彼らに負担をかけたくないんだ。」彼は言う。
彼は12人いるエイズ患者の1人である。このお寺は1993年ポングテップ ダマガルコ僧侶によってムアン地区に建てられた寺「ワット マイ フアイ サイ」である。通称バーン・プエン・チーウィットと言われている。
この寺は緑で囲まれ静かなおよそ3200平方メートルの広さのお寺である。最初、病人の施設もなく今の病人のための施設は瞑想するために使われていた。しかし哀れなエイズ患者が助けを求めてやって来たとき、住職は彼らを「病気を見ることが出来ないから。」と追い返すことはできなかった。
「私は考えました。私が実際に奉仕することで、新しい寺の僧の私と地域社会との間にある溝に橋をかけることが出来、仏教の教えを効果的に教えることができるのではないかと。」

仏陀の教え

エイズは大きな社会問題である。ポングテップ住職は言う。「だからこそ、人の苦しみを救う仏陀の教えを説くための良い媒介にもなるのです。」
以前NGOで働いていた者だからか、この43歳の僧侶は彼の宗教生活の中に社会福祉活動を容易なことだと考えていた。
しかし彼がエイズ患者の村に行き、病状の進んだ彼らが家族や地域社会から見捨てられているのを見たとき、そこがもっとも自分を必要としている場所であること確信した。
「恐ろしくてエイズの息子に近ずけず、部屋の遠くから息子を見つめている母親を見て、私はこれらの見捨てられた人々に今すぐ助けがいると思いました。」
4年前からポングテップ僧侶のこの治癒しないエイズ患者への世話が始まった。そして今も助けを求める患者の数は増え続けている。
彼はお寺を“バーン・プエン・チーウィット"(生きる仲間の家)と名付けた。このお寺は無料で基本的に必要な治療と心のカウンセリングを行なっている。
「私は彼らに冷たい扱いを受けない場所を与えたいのです。住み良い生活環境を与えること、充分な食事や治療そしてエイズでない人たちに受け入れられるようにすることが、彼らの病気を物理的にも精神的にも癒して行く良い方法だと固く信じています。」
バーン・プエン・チーウィットには12人の患者が居る。ここは常にいっぱいである。悲しいことに1人が亡くなれば、その空いたベットはすぐに新しい患者が入って来る。
「エイズになったほとんどの者が自分の村には居たがりません。誰にも知られたくないのです。だから彼らほここにに来るのです。」僧侶は言う。
彼らの家族は彼を無視し世話をしてくれない。そのことで、ますます彼らはこの施設へ逃げて来たがる。「ときどき家族の中にはエイズ患者を病院や通り、はたまた患者が戻って来られないように患者の知らない場所に置き去りにして行く人たちもいます。」と僧侶は話す。
今、このお寺は12人の食事や治療に月25,000バーツほどかかっている。家族といっしょに住んで治療に訪れる患者には自分だけで治療できるよう訓練が行われている。またその家族には家での世話の仕方が教えられている。
バーン・プエン・チーウィットが病院施設と違うのは、患者はたちが毎日の雑用、掃除、ご飯の準備、野菜や薬草の栽培、ベットから起き上がれない患者の世話をすることである。心を癒すためにお祈りや瞑想も毎日行われている。
ポングテップ僧侶の目的のひとつにエイズ患者を村の人たちに隠さず見せて、患者を差別しないように村人たちを教育することもある。バーン・プエン・チーウィットの患者たちは時々ゴミの収集や村の運動会の参加など地域活動に参加している。
治療は、薬草治療を最初に行なっていた。今は西洋の医学治療も併用して行なっている。しかし、田舎の病院を見ると不幸なことに患者が送り込まれても放置されることが多いと言う。
「最初、私はエイズについて何も知りませんでした。緊急事態が起こったときはいつも患者を病院に運んでいました。」
「しかし患者たちが追い出されたと知ったとき、この病気について勉強して患者たちを私が世話しよう。病院に頼らないようしようと決心しました。」
彼はエイズ患者の世話の仕方について独学で本を読んだり医者から聞いたりして研究を始めた。患者を世話続けて4年たった今ではベーシックな診断や病気初期の患者へ処方箋を与えることが出来ると彼は言う。しかし病気が深刻なときには、彼は患者を病院へ連れて行っている。
今ではこの寺自信で病理検査場を持ち、患者の血液、唾液、皮膚の検査が出来る。ここで働く僧侶やボランティアは充分にトレーニングされている。この検査場ではどんな病気に対してもテストが出来、患者に対しすぐに結果を知らせ、いち早い対応が確実に出来ると言う。
チェンマイ地区のエイズ患者の増加に対して、この施設の大きくすることが必要になってきているが、逆に、ポングテップ僧侶は治療の質を上げるべくベット数を12から8に減らしたいと考えている。
「ベット数を増やすことが増加するエイズ患者に対する問題の解決策だとは思いません。私たちがここに来るエイズ病気の患者全てを治療することはいつまでたっても不可能です。」

家族たちによる治療

ポングテップ僧侶によればチェンマイ近辺には約10万人のエイズ患者が居る。患者たちの家族たちに世話をさせることが数の問題を解決する良い方法だと彼は考えている。
「私は患者の家族親戚の人たちに言います。彼らを見捨てれば因果応報(行いや考えの善悪に対し、必ずそれに応じた結果があること。)の法則により必ずあなた達自信が見捨てられることになりますと。」
恐怖無知から来ると彼は言う。仏教の教えによれば、正しい知識をもてば恐怖はなくなる。彼は患者たちの家族にお寺にしばらく居るようにお願いする。その間にエイズ患者の世話の仕方やいっしょに暮らして行く方法を教えることが出来る。
家族中には喜んで居てくれる家族もあるし、「あなた達自信のためなんですよ。」と強制しなければならない家族もある。「正しい知識は重要です。それを持てればエイズ患者もそうでない人も同じに考えられるのです。」
バーン・プエン・チーウィットではお寺に居る間は患者と家族はいっしょに自分たちの家と同じように暮らす。仕事のある者は昼間は出かけ、夕方またお寺に帰って来る。そして患者が外でも生活できるように充分回復し、家族たちも患者の世話のやり方を理解したとき、彼らは自分たちの村に帰って行く。
「家族が患者のことを理解するだけではだめです。患者自信も彼の家族のことを理解しなければなりません。」とポングテップ僧侶は言う。
「例えば家族がゴム手袋を使ったり、彼の食器を別に分けても腹を立てるべきではありません。エイズへの恐怖と自己防衛は自然なことなのですから。そして患者自信も家族を助けるべきです。妻が外に働きに出ている間は、家庭内の雑用をするなどして助けるべきです。」と彼は言う。
彼の家族看護プロジェックトの患者たちはお寺に来たときより積極的になって家庭に戻って行くと言う。
「エイズ患者に必要なものは家族からの愛、いたわり、そして理解なのです。私はこの寺の施設を臨時的な避難場所として奉仕したいのです。家族たちの看護が増え続けるタイ・エイズの問題を解決する鍵なのです。」とポングテップ僧侶は言う。

バーン・プエン・チーウィット連絡先

Baan Puen Cheewit :183 Moo 4,behind Wat Mai Huai Sai,Suthep sub-district,Muang,Chanmai 50200

Tel (053)283-272(Phra Phongthep Dhammagaruko)