タイの象さんの病院


4歳のウアンはステンレス.スチールの靴を作ってもらいました。しかしこの靴のせいで上手く歩けません。ウアンが歩いているととてもユーモラスに見えてしまいます。でもウアンは必死で歩いています。

彼が足を怪我したのは1歳のときお母さんと遊んでいて錆びた釘を踏み抜いたせいです。しかし何の治療もしてもらえませんでした。そのうちに傷がひどくなり、怪我をしていない足に負担をかけるようになりました。

長い放置で怪我していない足の骨も曲ってしまい、とうとう歩けなくなってしまいました。そして今年の1月ランパン県にある象病院に来たのです。病院では苦痛を和らげるため獣医さんが特別な靴を作ってくれました。これは骨を真っ直ぐにしちゃんとした姿勢で歩けるようにデザインされています。

ウアンはこの靴を履いていると上手く歩けません。ときどきイライラして興奮してしまいます。でも獣医さんはこの靴は重要だと言います。

病院ではウアンを含め6頭の象が重い病気や怪我で治療を受けています。そしてこの病院はある基金で運営されています。

6頭の象

バンレングは40歳、長い間材木運搬の仕事をしていました。働き過ぎで動けなくなりました。体中が傷ついて病気に冒されています。彼は4月に病院に来ました。

彼をやさしく診察しながら獣医さんは言いました。「彼の傷は深くて溝のようだ。多分彼が助かる可能性は50%ぐらいだろう。」

レックとブーマもバンレングと似ています。彼女たちは違法な材木伐採者の下で虐待されていました。彼女たちの肩の傷は膨れ上がり膿が溜まって、それが原因でもう働くことは出来ません。ブーマは特に知らない者が来ると落ち着くことが出来きません。とても恐いのです。

「ブーマはいろいろな飼い主に虐待されていたようです。」病院の獣医さんはため息をつきながら言いました。「彼女はアンフィタミン(麻薬)を与えられて、長く働かされていたんです。今彼女は歩くこともできません。」

飼い主から酷使され視力が無くなった象もいます。カムプアンもその1頭です。

カムプアンは50歳になります。彼女はほとんど物を見ることが出来ません。彼女の左目の水晶体はずれてしまっています。右目もなんとかぼんやり見える程度です。獣医さんによれば左目は細菌によるものだそうです。彼女をいま介抱して上げなければ全盲になってしまいます。

同じようにナコンシマラット県から来たタングトングも左目が見えません。獣医さんはもうひとつの目を塞いでしまいました。病原菌に感染しているのです。これ以上ひどくならないように塞がれ、今手術を待っています。

プングはチェンマイから来ました。足が片方脹れあがっています。仲間の象と喧嘩して河に落ちたとき傷めたのです。

この象病院には専用のレントゲン撮影機がありません。獣医による大雑把な診断では骨折と診断されました。彼女は体を支えるためスチールの特別製の添え木をしてもらいました。これはプレエチャ獣医の特別デザインです。これをプングに付けるときは大変でした。

「人間相手だと足を伸ばしたり曲げたり言えば良いのですが象の場合 象をある状態で静止するためにたくさんの象使いの手伝いが必要です。」とプレエチャ獣医は言います。

「折れた骨を治すのに15日間象に動かないで欲しいのですが、そのことを象に誰が理解させますか。ときどき象に向かってそのまま動くな!と怒鳴りたくなろますね。」獣医さんは言います。

基金の不足

プングの添え木は3万バーツ掛かりました。プレエチャ獣医が近くのスチール工場へ何回も通って作ってもらいました。

ウアンの場合は安くて4千バーツでした。象によって添え木が違うのでその度にプレエチャ獣医はデザインを考えなければなりません。これが彼の頭痛の種です。

基金のお金は不足していますが今新しい象の患者が来たときは全てが治療を受ける事が出来るようになりました。しかし完治にはもっと時間とお金がかかります。

「病院では常に夜でも小さいですが明りを付けています。象使いが象を見てまわるためです。多くの象は明りを嫌がります。良く眠れないのです。でもこれは必要なのです。
もし象を森へ連れて行き土の上で眠らせたら傷口は汚され決して良くはならないでしょう。」

いま象病院にはレントゲンなどの治療器具が不足しています。「いま国には専門の象の獣医はいません。私たちは最初ゼロから治療を始めなければなりませんでした。今象の居る国ではもう働けない象は撃ち殺されてしまいます。しかしタイではこのような無慈悲な殺害は行われていません。」とプレエチャ獣医は言います。

「獣医たちはいつも最善を尽くして頑張っています。しかし、ときどきこれ以上象が苦しむのを忍びないときもあります。もう治る見込みが無いとき、彼らに眠ってもらうことを選択することもあります。」プレエチャ獣医は辛そうに言います。

今虐待されたりオーバーワークの象が増え続けています。「以前は我々の病院に来る象は象使いに苛められたり、サーカスでこき使われたり、また事故で傷ついたものが多かったのですが、今はほとんどが木材の密売屋に利用された象です。」

「今材木の伐採は深刻になってきています。違法な材木業者がお金のためにどんどん許可なしで伐採しているからです。結果としてジャングルで働かせるための象が酷使されています。」と彼は説明します。

象がもはや働けなくなったとき彼ら世話する責任がこの象病院に負わされています。象が回復したとき、必要ないと彼らを引き取らない飼い主がたびたびいます。今病院ではこの捨てられた象の世話もしています。

これには今まで以上に経費がかかり、象の長い寿命まで世話できる財政計画が必要となります。

「今私たちが目標としているのはベストを尽くすことです。」とプレエチャ獣医は言います。

現在象1頭に対し月7万バーツが治療代として払われています。全ての基金は公共の寄付でまかなわれていますが、残念ながら増え続ける象の患者をこれだけで世話することは出来きません。

「象は我が国のシンボルです。今苦境にある象を救うためにみんなの協力が必要なのです。」とプレエチャ獣医は言います。


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