殺しの代金

チャオ・ポー(タイのマフィアのボスのこと)が誰かを殺したい時、夕食で彼の名前をつぶやくだけで良い「やつがいたら俺達は餓死するぜ。やつは俺達から楽しい未来を奪い取っている。」
すぐに食卓から用心棒の1、2人が出て行く。しばらくして彼らは戻って来て食事を続けるボスの耳で何か囁く。
法の末端で生活している人間はちからのある人間が彼の敵を簡単に排除してしまうのを知っている。いとも簡単に1人の人間が死んで行く。
あるギャングのメンバーが語ってくれた。仲間の飲み会がチェンマイのあるフードショップで開かれているとき、2人の男が仲間に入れてくれと頼んできた。彼はこの2人組み男達が暴行と殺人未遂で刑務所を出たり入ったりしているのを知っていた。
飲み会の最中、2人はトイレに立って、30分程で戻ってきた。長いトイレの理由を尋ねるとはっきりと答えた。「ある人間を撃つ約束があったんだ。俺達は彼を殺したよ。」これはジョークではなかった。
彼らは2、3ヶ月後、そのフードショップからそう離れてはいない所に居た商売人殺しで逮捕された。あの飲み会の夜殺人事件が起こっていたのだ。彼らは尋問の間、拘留され殺人補助で告訴された。 彼らはアリバイ工作であの日飲み会へ参加したことが後でわかった。
この話は映画の台本の話のようだが、幾つか理解できないことがある。どうしてこの人たちは簡単に、他人に対し、このような憎むべき行為を実行することができたのか。どうして彼らはそんなに冷静沈着でいられるのか。
ある警察官は彼らは気違いだと言う。別の報告によれば、彼らは独特の性格を持っていると言う。「彼らは酒を飲みいつも口論している。そして喧嘩を受けてたつ事を誇りにしている。」どんな性格を持っていても警察では彼らを全てプロの殺し屋と呼んでいる。
警察本部で編集されたファイルには5000人以上の殺し屋が載っている。その名前は密告者の助けを得て地方の警察を通して集められた。名前の半分以上は名字のない別名である。
これらプロの殺し屋の何人かは彼らが犯した重大な犯罪で手配リストに載っている。残りは犯罪暦のない単なる容疑者である。リストの何人かは姓名、住所、彼らが良くうろつく場所、出生地、親戚、家族、親友や同僚など詳しい情報が載っている。また、何人かは彼らのボスの政府や民間機関におよぶちからや影響力についても書かれている。
ファイルの幾つかには注意人物の住む家の電話番号、女房の名前、連絡先が含まれる。また、幾つかは殺し屋どうしの関係で分類され犯罪時の写真も載っている。
警察によればこれらのファイルは新しいデータが入って来る度に更新され、犯罪調査のためのデータベースとして使用されている。 しかし1人の殺し屋に対して幾多かの名前が使われているため、実際の殺し屋の人数は5、000人以下と言われている。
CSD(Crime suppression Division)から見せて貰った資料によれば、県をまたがって活動している殺し屋は2000人もいない。CSDは県をまたがって活動している殺し屋を扱っている。CSDによればこれら資料は警察官、たれ込み屋などから集めた情報をベースとしている。リストは別称、呼び名なども含まれているため2重記載がないと言う確証はないと言う。
CSDでは殺し屋を4グループに分けている。(1)フリーランサー、(2)特定のギャングに属している殺し屋または個人的軍隊、(3)パートタイムの殺し屋そして(4)個人的用心棒である。
フリーランサーなど特定の組織に属して活動していない殺し屋のほとんどが犯罪暦を持ち、仲介人から指示を受け取る。彼らは普通、小さな工場などで働き、そこを隠れ家にしている。フリーランサーに払われる金額は、殺す難易度に依るが20、000から100、000バーツ(約9万円から45万円)である。これらの値段は法廷で殺し屋によって明らかにされている。
普通30%が殺しの要求時に払われ残りが殺しの後7日から10日の間に払われる。支払いが出来ない場合、仲介者が襲われたり、殺されたりする結果になる。
特定のギャングに属する殺し屋は第三者からの指示は受けない。ギャングのリーダは彼らに必要なもの、例えば住む場所、食べ物、酒やこずかいを与えている。ギャングのリーダはチャオ・ポーであるかそれに近い者である。
これらの殺し屋は殺しの命令を行うばかりでなく、密輸や木材の横流しをやる彼らのボスの用心棒も務める。これらの殺し屋の殺しの報酬はたった5000バーツぐらいだと言われている。彼らはいつも2人から4人のグループを組んで動いている。典型的な殺しのチームは4人で、2台の自動車かオートバイが使われる。標的の識別者と彼の運転手、殺し屋と彼の運転手である。
ギャングのリーダは直接に殺しに関わらないが、10万バーツを受け取る。そして彼は2万バーツぐらいを彼の子分に与える。これは彼らにとって殺しの代金に上のせされるのボーナスとなる。
セミプロやパートタイムで殺しをする者はほとんど心の病気だと言われている。彼ら中には生活苦から抜け出るためプロになる。彼らは友達や家族を欲しがる。中にはただで人殺しをやる者もいるだろう。
用心棒として働く殺し屋の財産は忠誠心だ。彼らは政治家やビジネスマンから雇われている。政治家やビジネスマンの中には社会で広く知られている人もいる。
彼らの仕事はボスのボディガードだが、何人かはボス以外からの指示でも殺しを請け負う者もいる。警察筋は言う。「彼らは自分たちがトラブルにあったときボスが助けてくれると思っているから殺しを敢えて行うのだ。」用心棒たちはボスがある人物を嫌いだと知っただけで簡単に殺してしまう。
例えば、冒頭で述べたように、ボスは夕食で単にこの男が嫌いだと言うだけである。命令の必要はない。
何年かまえある良く知られている事件が起こっている。名のあるビジネスマンのボディーガードが若い建築家をバンコクのカラオケバーで撃ち殺した。この事件は彼のボスがこの建築家に歌い過ぎだと文句を言ったあとで起こっている。
プロの殺し屋は決して自分のやったことを自慢しないが、何人かは「100人殺し」とか「何人撃ちの殺し屋」とか言われている。プロでない殺し屋は自分の秘密をしゃべりたがる。
しかし仕事の中で、彼らの秘密は正確な弾丸と同じく生命の源泉をなしているのだ。最近タイマスコミ機関のディレクター サエングチャイ スンソンワットを殺した殺し屋ナルエツック オウントラクルは決して今までに何人殺したことがあるかは言わなかった。彼は刑務所で模範囚であれば、彼の刑が軽減され、いるの日か自由になることを願っているのだ。ナルエツックはたった1回だけの殺人として有罪が確定した。