タイ語の感覚

岩波書店から「英語の感覚」という本が出ています。アカデミックで少し難しいですが「はしがき」を読んでみてもおもしろい本です。
少し内容を言うと著者は長く英語教育にたずさわっている大学教授です。この方は40歳超えて1年間アメリカ留学しましたが、満足できる英語を修得できなかったと言います。彼は思います。「こんなに長く英語をやってきた人間が何故に修得できないのか。」
そして英語を母国語とする人間の英語感覚を修得しなければ英語はうまくならないと訓えてくれます。

英語を母国語とする人間はこのような感覚で英語を使うのだという本は増えています。アメリカ人の書いた「ネーティブ感覚の英文法」(朝日出版)なども普通の英文法の本より随分役立つと思います。

タイ語の修得にも、それを母国語する人たちの持つ言葉感覚的を理解することが重要だと気づかせてくれました。

例えばタイ語で良く使う「ミー」(มี) 持つ(所有)を意味する言葉です。しかし"場所"が主語になるとそこに物、人が存在する(Be動詞) と言う意味で使います。タイ語には「居る」と言う意味で「ユー」(อยู่) があります。どこが違うか、会社で間違い電話の応答を考えてみましょう。


Aさんに繋いでください(又はお願いします)と言って来きたとしましょう。しかしAと言う名前の人がいません。このような場合どのように言いますか? 

日本語では「Aさんと言う人は居ません。」でしょう。多くの日本人は直訳してクンA マイ ユー(ティー.ボリサットニー)(คุณ A ไม่อยู่ที่บริษัทนี้ ) と言ってしまいます。「ユー」(อยู่) 存在を現すと丸暗記しているから、直訳です。しかしこの文の意味は「Aさんは()居ません。」になり「外に出かけています。」と同じ意味になります。「ユー」(อยู่) には現在存続を示す感覚があるからです。

このような場合は「ミー」(มี) を使います。この場合否定だから「マイ ミー クンA」(ไม่มี คุณ A )ですね。 「ミー」は所有の意味があるから、場所又会社(この場合は省略)がその人を持っていない。つまり「そのような人はそこに存在しない」と言う意味になります。

「ミー」(มี) は「所有」の意味があり、いろんなところで使われます。

  • 「お金がある(基本形)」(ミー グン)(มีเงิน )
  • 「経験がある、している」(ミー プラッソップカーン)(มี ประสบการ)
  • 「生きている、命がある」(ミー チーウィット)(มี ชีวิต)
  • 「価値がある」(ミー カー)(มี ค่า)

また  ニュースなどは事故などで加害者に対し「(殺人などの)意図があった。」(ミー チェッタナー)(มี เจตนา) を良く使っています。

しかし電話の対応で述べたようにBe動詞のように訳す「あそこに犬がいる。」(ティ ナン ミー マー)(ที่นั้น มีหมา) があります。所有の意味で直訳すると「アソコは犬を持っている」でしょうか。 また映画を見ていたら面白い使い方に出会いました。死に行く妻に夫が言います。「トン ミー クン」(君に居て欲しい)(ต้อน มี คุณ )

何となく「ミー」と言う単語の感覚が分って来たでしょうか。タイ人の「存在」の感覚は「所有」されているという感覚があるのかもしれません。

電話の対応を正確に言うと「ティー ボリサットニー マイ ミー クンA」”この会社にAさんは居ません (この会社はAさんを所有してません)”(ที่บริษัทนี้ ไม่มี คุณ A)となります。

我々は日本語を感覚的に覚えています。だから流暢にしゃべることができるです。ですから外国語を習得する場合も1つ1つの単語のもつ意味を丸暗記するのでなく、これらが使われているときの感覚を身につけることが大事です。外国語を流暢に操る人は多分その感覚が出来ている人です。次回も「外国語の感覚」について考えたい思います。


ちょっと1息(間違い電話)

タイでは間違い電話が多いです。昔は交換機が原因の場合が多かったようです。そのせいでしょうかタイ人が電話で最初に言う言葉が奇妙です。

日本だったら最初に「Bさん宅ですか?」と相手を確認するか、自分を名乗るでしょう。タイでは違います。多くは「どこに掛かってますか?、どこですか?」といきなり聞いて来ます。

知らない人間から電話がかかって来てこのように言われたらどうしますか?
「Bさん宅ですか?」と確認されたら「番号ちがいです。」と言えるのですが電話をしてきた見知らぬ他人に自分の方が先に名乗りますか?その前に「お前は誰だ?」と言いたくなるでしょう。

深夜などに間違い電話がかかってきて「そっちは誰だ?」なんていきなり言われたら怒り心頭です。

また冷静になって誰にかけたいか訊ねて「違います。」と答えると謝るどころか「エッ、じゃ、どこに電話かけたんだ?」としつこく訊いて来ることもあります。だいたいここでプッツンですね。「お前は誰だ。知らない相手に名乗る必要があるのか。」となってしまいます。こういうことは誰でも何回かあるようです。

しかし近頃携帯電話も含め電話が普及したきたせいか徐徐にマナーが良くなってきた 気もしますがどうでしょうか?

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