日本の求められるもの

東南アジアでは民主主義はまだ始まったばかりである。ほとんどの国は自由選挙で第一党になった中から首相も選ばれている。しかしまだ形だけであることはみんな知っている。
タイも11月選挙が行われた。第一党から首相が選ばれたが、チャワリット新首相が票をお金で買ったのはタイの国民は知っている。対抗馬だった元首相のチュアンは選挙の違法性を訴えている。(チュアンはクリーンな政治家でバンコクでは一番の人気がある。)
タイの選挙終了後すぐにアメリカ大統領クリントンが来タイした。このときおもしろい小さなデモがアメリカ大使館の近くで起こった。デモはクリントンに選挙が違法な手段を用いて行われたことを訴えていたのだ。
アメリカが民主主義のもと発展し、世界のリーダであることはタイの人々も認めている。そこで手本となるリーダ国によって自国の不完全な民主主義を正してほしいと訴えたかったのだろう。
感心するのはアメリカのタイ国民に対するアピールであった。クリントン夫人のヒラリーは少女売春問題のためチェンマイ訪問し、チュラロンコーン大学での大統領の演説はタイのあるべき姿を示し、アメリカが世界でリーダシップを取れる国であることを示した。
それに比べて日本は、国際経済に対する主張は見えるが、アジアの民主化に対する意見やアジア諸国の知識層にアピールする考え方が見えてこない。関税撤廃、自由貿易促進などは良く耳にする。しかしミャンマ民主化運動や中国等の人権問題に対する意見は「どうもアメリカやヨーロッパと同じらしいぐらい。」しか感じないのだ。
それは東南アジア諸国の知識人たちも同じと思う。フィリピンで行われたAPECの最終日、橋本首相の結果報告で外国人記者とのやり取りで感じた。
記者たちによる質問が幾つかなされ、最後にシンガポールの記者がアジア民主化について質問をした。橋本首相は「APECは経済のことを話し合う場所で、そのようなことを話し合う場所でない。」と言い終わってしまった。しかし私には東南アジアの記者たちはAPECが経済問題を扱う場所だと知っていて敢えて、日本の考え方を質問したのだと思えるたのだが...。
日本は国連の常任理事国入りを国連によりいっそうの協力をすることで(お金を出すこと)で求めている。しかし各国がお金を出すことは認めても口を出すことは賛成してくれるだろうか?正論を述べたとして、強く最後まで主張できるだろうかか?(特にアメリカなど列強国と対立した場合。)日本は平和主義を主張しながら経済以外でリーダシップを取れるのか不安に感じてしまう。
近く橋本首相が東南アジアを訪問すると言う。このときどのような演説をするか楽しみである。戦争について詫び(東南アジア諸国の人は聞き飽きていると思うが...。)そして経済援助の約束をしてそれ以外に何を言ってくれるのであろうか。

クリントン大統領の演説の一部

タイは訪問したかった国ですが、タイの国王50周年の記念すべき年に来ることができ大変うれしく思います。
(中略)
今の時代は国どうしの柵も崩れ、国境も不鮮明になって来ている中で進んでいます。そのため急速に問題も広がっています。環境破壊、エイズ問題、大量殺戮兵器、テロリズム、麻薬、そして組織犯罪の国を越えた広がりにも目を向けねばなりません。これらの問題に今まで通りのやり方ではもう対処できません。そしてどこの国もこれらの問題から免れることも出来ないし、一国だけでこれらの問題に対処することはもう出来ません。
経済成長に伴なった環境破壊を無くすべく今アメリカはタイ国と共に働いています。多くのアメリカの社会的環境を改善する会社がタイ国はもとより、その外の国でも働いています。タイ国も先頭になって助けてくれています。最近のことを言えばタイ国はオゾンを破壊するCFCの使った冷蔵庫の輸入や製造を禁止した最初の国でした。このことについて私は感謝しています。
また私たちはタイ国とともに恐ろしいエイズ感染を止めるべく働いています。今アジアは他の地域に比較してもエイズ感染の広がりが早い地域です。そして今タイ国は最前線に立ち、エイズ感染予防を行なっている良い手本に成っています。
そして国際開発のためのアメリカ機関が、若い女性が生活のために売春婦になることの無い、より良い未来が見つけられるよう手助けするための“明日のタイ女性のプロジェクト”の立ち上げに協力しました。
実際、私の妻が一昨日チェンマイ大学の教授たちが集って始めたこのプロジェクトを視察するためチェンマイに行きました。これは若い女性や彼らの家族を破滅的な生活習慣(生活のために娘を売ること)を止めさせるために重要なことです。 妻は言っています。「女性や少女を食い物にする輩から守ってやることだけでは不十分です。私たちみんながいっしょになって、彼女たちが実際にチャンスを掴めるドアを大きく開けて上げなければなりません。そうすることであらゆる層の人々が国の発展に寄与することが出来るし、また分かち合うことも出来るのです。」
私たちのお互いの協力が増え続ける国際的な組織犯罪と戦うには絶対必要です。これらを野放しにすれば、この犯罪集団は多国間にまたがって暗黒街を支配し、自由経済をねじ曲げ、民主主義を弱体化させ、汚職、暴力そして麻薬により社会を衰弱させてしまうのです。
(中略)
タイとアメリカが一緒に働き、経済発展、自由主義の推進、相互援助をアジア太平洋地区に導くことにより、自由度、安定性、安全性が増しアジア太平洋地区は将来見込みがある力強い地区となるのです。
私たちはまだチャレンジしなければならない問題もあります。掴み取れる幸運もあります。お互いに学ばねばならないこともあります。しかし、私は私たちは全てのことができるだろうと確信しています。何故なら私たちはお互いが一緒に働くことで利益、価値及び夢を共有できる太平洋共同体を作ることが出来ることを知っているからです。

タイの汚職と日本の汚職(第1回)

日本の戦争被害者意識(第2回)


Home

ご意見ご感想はこちら